なぜ、『蕎麦湯の素』というニッチなものを作り始めたのか

なぜ、『蕎麦湯の素』というニッチなものを作り始めたのか

実家が下町の蕎麦屋

私の生まれ育った実家は祖父の代から蕎麦屋を営んでいて、幼い頃から蕎麦と、そして「蕎麦湯」が当たり前にある環境で育ちました。

正直に申し上げますと、小さい頃はうどんの方が好きでしたし、蕎麦湯の本当の美味しさも分かっていませんでした。
しかし、修行を経て技術を学び、そして何より私自身が歳を重ねるにつれて店によって個性があり、飲むほどに滋味深い。

この素朴ながらも奥深い味わいを、もっと手軽に、家でも楽しみたい。 そんな個人的な想いから、私の「蕎麦湯の素」づくりは始まりました。

「お店でしか飲めない」という現実

考えてみれば、蕎麦湯はお店でしか味わえません。今は通販で蕎麦もつゆも手に入る時代。なのに、蕎麦湯だけがない。

1種類だけ販売されていた既存の商品も試しましたが、味付けされたスープのようなもので、私の考える純粋な蕎麦湯の風味とは程遠いものでした。

最初は液体状のものを試験販売しました。月に1つほど売れ、手応えを感じたものの、お客様から「冷蔵保存や温め直しが面倒」という声をいただきました。

そこで最適な製粉業者を探索し、お湯を注ぐだけで楽しめる粉末タイプに変更。これが現在の形です。

みなさんが知らない「蕎麦湯の秘密」

蕎麦屋が好きな方は出会ったことがあると思いますが、とろみが強くて白濁した濃厚な蕎麦湯を飲んだことはありませんか?

実はあれはやかんや手鍋などを使って濃厚な「蕎麦湯の素」のようなものを作っておいて、それを釜湯やお湯でのばしていることがとても多いです。

多くの人が釜の茹で汁を使っていると思ってるようですが、あのような濃厚でとろみの強いお湯で生麺の蕎麦を茹でると麺がくっついてしまったり、茹でムラができてしまって美味しく蕎麦を茹でることができません。

なので、わざわざ蕎麦湯用に蕎麦湯の素を作っておいて、必要な時に作り直したり、温め直したりしているのです。
※もちろん「釜の茹で汁だけ」を使っているお店もあります。

何度もリピートしてくださる方の声

ありがたいことに、今の「らくらくそばこ」を販売するようになってから、6〜7回とリピートされる方もいらっしゃいます。

あるお客様に直接お電話でお話を伺ったところ、「蕎麦は体に良いと聞いて日頃から食べていたが、蕎麦湯も手軽に飲めたら」と始められたそうです。他の要因も多くあるとは思いますが、朝晩の習慣にされてから体調が良くなり、健康診断の数値も改善されたとのこと。

蕎麦は穀物の中でも栄養価が高く、食物繊維やポリフェノール(ルチン)が豊富です。しかも水溶性の栄養素は茹で湯に溶け出すため、麺だけでは半分しか摂取できません。蕎麦湯の素なら、蕎麦の栄養を余すことなく摂れるのです。

私自身も毎日ヨーグルトに混ぜて食べています。味はほとんどせず、きな粉より控えめ。食事の邪魔をしないので、無理なく続けられます。

ある日の大量注文が教えてくれたこと

ある高齢者施設から大量注文をいただいたことがありました。

そのとき、ハッとしたのです。入院中の方、介護施設で暮らす方、足腰が弱くなり外出が難しくなった方、そういった方々は、もう何年も蕎麦湯を飲んでいないかもしれない。もしかしたら、もう二度と飲めないかもしれない。

私自身、過去に腎臓の病気で2度入院した経験があります。閉鎖的な空間で過ごす日々。楽しみは食事くらいですが、それも美味しいとは言えない。

もし蕎麦好きの私がそのまま施設で暮らすことになったら、お茶やコーヒーは飲めても、蕎麦湯が飲めないのは寂しい。

「最期まで好きなものが楽しめる」それは、人生のクオリティを支える大切なことではないでしょうか。

ニッチだからこそ、届けたい

私は現在、「特撰ひやむぎ きわだち」というひやむぎ専門店を経営しています(実はこちらが本業です)。5年前に日本初のひやむぎ専門店として開業し、現在は北海道、岐阜にもひやむぎ専門店が誕生しました。

ひやむぎも蕎麦湯も、とてもニッチです。でも、だからこそ価値がある。

今までひやむぎを食べたことがなかった若い方が「こんなに美味しいんですね!」と驚く瞬間。かつて蕎麦湯を愛した方が「久しぶりに飲めた」と喜ぶ瞬間。

そこに、誰もやっていないことをやる意味があると信じています。

世の中にあらゆるものが揃う時代だからこそ、「今までなかったもの」「届いていなかったもの」を届ける。それが私の使命だと思っています。

蕎麦好きの皆様へ

蕎麦湯の素は、まだまだ小さな事業です。けれど、蕎麦を愛する方々に、新しい楽しみ方を提案できればと願っています。

私は今も都内を中心に蕎麦屋巡りを続けており、チェーン店からミシュラン店まで幅広く足を運んでいます。父が集めていた業界誌も保管しています。

もし「こんな場面で使える蕎麦屋は?」「会食に最適な店は?」といったご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
これまでの経験を踏まえて、喜んでご紹介いたします。

そして、これからも蕎麦の魅力を、さまざまな形でお届けしてまいりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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