蕎麦屋訪問記 曳舟「蕎麦割烹 ながの」 〜充実した蕎麦前とじっくり炊いたにしん蕎麦〜

都電が走る町並みにも似た、どこか懐かしさの残る東向島。
曳舟駅から数分、静かな通りに佇む「蕎麦割烹 ながの」。
お客様から聞いて一度訪れていたけれど、この日は天気も良いので再訪しました。

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暖簾には、柔らかな筆致で「蕎麦割烹 ながの」。
派手さはないけれど、静かに佇むその姿に、不思議と吸い寄せられるように引き戸を開けます。

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入ってすぐ、やわらかな木の香りと、落ち着いた照明の空間。
カウンターに腰掛けると、この日は大将のワンオペのようで少し忙しそうなご様子。

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タイミングを伺って山形県の「十水」を注文。
しばらくしてから、すっと差し出されたガラスの徳利。
涼しげな緑色がかったグラスに注がれると、まるで心まで洗われるよう。

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ゆっくりと飲みながら、目線を上に上げると木の札に、他のお店でも見たことのある一節が刻まれていました。
これは大将が竹やぶの系列のお店で修行をされた方であることの証ですね。

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酒のアテにお願いしたのは「前菜盛り合わせ(5点盛り)」。
…のはずが、運ばれてきた皿にはなんと6品。
ちょっとした嬉しいサプライズに、思わず顔が綻びます。

どれもひと口の中に、季節の気配と料理人の繊細な心遣いが感じられ、思わずゆっくりと味わいたくなります。
お酒が進む、まさに“蕎麦前”のお手本のようなひととき。

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いよいよ主役の登場。この日は「二色そば」を注文しました。

1枚目は定番の「せいろそば」で、木のざるに盛られた蕎麦は、淡いグレーにほんのりと黒星が入り、見るからに香り高そう。

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ひと口、口に含むと…

つるりとした喉ごしの中に、しっかりとしたコシ。
噛むごとに広がる、蕎麦粉本来の香ばしさと甘み。

添えられたのは、薬味としての青ねぎと山葵のみ。
潔い構成が、この蕎麦の完成度を物語ります。

つゆはきりっと引き締まった味わいで、蕎麦を引き立てつつも、丸みのある後味が心地よく残ります。

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2枚目は「小にしんそば」。
やわらかく煮しめた身欠きにしんが、温かい出汁の中でふっくらと泳ぎます。

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甘辛く、けれど主張しすぎない味付け。
出汁とにしんの一体感が、体の芯まで沁み渡っていきます。

しっかりとした味わいながら、決して重くない。
このバランス感覚が、「割烹」と冠する所以でしょうか。

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せいろもにしんそばもどちらもとても美味しくて、あっという間に完食。

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最後は、たっぷりと白濁した濃厚な蕎麦湯。

器に残ったつゆに注ぎ入れ、すすると、じんわりと広がる優しい甘み。
蕎麦の余韻がふわりと戻り、静かに食事の幕が閉じました。

しばらく余韻にひたっていると、お隣の常連さんらしき人と少しばかりお話をする機会が。
色々と食べ歩いている方らしく、他にも近所のおすすめのお店などをご紹介いただきました。

華美な演出は一切なく、それでいて忘れがたい余韻を残す一軒。
食材、器、所作にまで、料理人の“丁寧”が詰まった蕎麦割烹。

次は夜に訪れ、ゆっくりとお酒とともに蕎麦前を味わいたい。
そんな思いを胸に、暖簾をあとにしました。

【2025年4月訪問】

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「蕎麦割烹 ながの」
東京都墨田区東向島2-20-6
03-6675-0167
【営業時間】
11:30 – 14:30
17:30 – 21:30
【定休日】
月・火
【食べログ】
https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13296654/

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